(2011年11月発行 A5版 196ページ)
旧南方邸所蔵資料を多数収蔵する南方熊楠顕彰館では、熊楠自筆文字資料を中心とする重要所蔵資料を広く公開し、研究・顕彰の糧とするため、「南方熊楠資料叢書」と銘打って翻刻刊行事業を18年度から進めています。
これまでに、顕彰館開館に先立つ記念刊行物として『原本翻刻「南方二書」』、19年度には『南方熊楠・平沼大三郎往復書簡[大正15年]』が刊行されています。平成20年度からは四カ年計画で、『南方熊楠・小畔四郎往復書簡』全四冊(明治35年から大正13年まで・予定)の刊行が始まりました。
小畔四郎は、熊楠の変形菌(真性粘菌)研究を助けた最重要協力者・高弟として熊楠読者にはよく知られた人物で、顕彰館には、熊楠の受け取った来簡約570通と、平成年間になってから小畔ご遺族から南方文枝さん(平成12年没)へ寄贈された小畔宛南方書簡約1000通が保存されています。これらの内容は、一部が過去の熊楠評伝などで紹介され、また『熊楠研究』誌に熊楠の書簡のうち二割程度(昭和2~4年分)が掲載されましたが、未紹介のものも膨大でした。
平成19年、小畔家に最後まで残されていた、小畔と熊楠が出会った明治35年から大正10年までの、最初期の熊楠書簡113通を整理貼付したスクラップ帳が、顕彰館の開館を機にご遺族から寄贈となりました。これを機に、田辺で再び一堂に会することとなった熊楠と小畔の往復書簡を、最初期のものから順次刊行しています。
今回最終巻となる『南方熊楠・小畔四郎往復書簡(四)[大正十三年]』を刊行します。
平成23年11月刊行
2,200円(別途送料310円)