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ミナカテラ・ロンギフィラ彩色図(グリエルマ・リスター 画)

 1916(大正5)年5月、熊楠は田辺の中屋敷町36に約400坪の家を求めて移り住んだ。終(つい)の住処となった、ここ現南方熊楠邸の庭は、それ以来彼の研究の場となった。当時、粘菌(変形菌)は、腐朽した木にのみ発生するとされていたが、熊楠は生きた樹木の上にも粘菌がつくことに気付いた。同年7月、この庭の柿の木の上で彼が見出した粘菌は、イギリスの研究者G・リスターによって新属に認定され、彼の名前を元にミナカテラ・ロンギフィラと命名された。リスターが記念に南方に贈った自筆の観察図が南方邸資料の中に遺されている。