第50回月例展 熊楠とゆかりの人びと第33回「江聖聡」
会期:2018年6月2日(土)~7月1日(日)
展示説明会:6月23日(土)14時~
1891年から1892年にフロリダ州ジャクソンヴィルに滞在した若き日の南方熊楠は、そこで現地の中国人移民たちのコミュニティの中で生活するようになります。その時、熊楠にもっとも親切にしてくれたのが、広東生まれの江聖聡(こう・せいそう)という人物でした。江は、熊楠が5か月間のキューバでの植物採集旅行を終えてジャクソンヴィルに戻ってからは、食料品店を営む自宅に熊楠を半年以上にわたって寝泊まりさせてくれました。「その支那人おとなしき人にて、小生の学事を妨げざらんため毎夜不在となり、外泊し暁に帰り来たる」という熊楠の述懐には、江の温かい人柄がにじみ出ています。
今日、当館には、江聖聡から熊楠に宛てられた書簡が多く保管されています。それらの書簡からは、江の人柄とともに、当時の在米中国人としてはかなりの知識人であったこともうかがうことができます。幼い頃から漢文による教養を身につけた熊楠にとって、同時代の中国人と緊密に交流したことは、世界観を大きく広げるできごとであったと考えられます。この月例展では、19世紀末のフロリダで出会った二人の東洋から来た若者がどのように友情を結び、生活をともにしていたのかを探りたいと思います。
◆展示内容
はじめに
広東の知識人と熊楠
孫文と南方熊楠
アメリカにおける中国人の苦力(クーリー)たち
江聖聡とジャクソンヴィルの中国人社会
江聖聡との出会いと友情
江聖聡の食料品店
その後の江聖聡
◆展示担当
松居竜五氏(龍谷大学教授)
劉運濤氏(重慶大学講師)
◆展示資料
熊楠と江聖聡の写真
江聖聡からの書簡
南方熊楠日記
ジャクソンヴィル鳥瞰図
その他関連資料
◆展示説明会(申込不要、無料)
6月23日(土)14:00~
講師:松居竜五氏(龍谷大学教授)