南方熊楠とつながりがあった人物をとりあげ、その人物の生涯や業績、熊楠との関係などを紹介する展示を行います。今回は、夏目漱石門下の作家であり、文学活動をしながら精神医学を学び、日本精神医学会を設立した「中村古峡」をご紹介いたします。中村は、南方熊楠の論考を出版するために尽力しました。
今回の企画展に合わせて千葉の中村古峡記念病院から寄贈された熊楠の手紙をはじめ、熊楠も寄稿した雑誌『変態心理』等の貴重資料から両者の交流を読み解きます。
■人物紹介
本名、蓊(しげる)。奈良県出身。東京帝国大学文学科卒業。漱石の薫陶を受けて文学の道へ進む。代表作は精神疾患についての自伝的小説である『殻』。熊楠との縁は共通の知人であった杉村楚人冠らの仲介による。その後、作家から精神医学の世界へ転身した古峡だが、自ら設立した日本精神医学会の機関紙『変態心理』発行の勢いをかって出版業への進出を企図。熊楠が雑誌『太陽』に寄稿していた随筆をまとめて出版すべく交渉を進めた。この企画こそ、後に熊楠の代表作となる「十二支考」の原型である。しかし、双方の事情で出版計画はとん挫、版権は古峡が買い取り、以降、多くの出版者が古峡と版権譲渡の交渉を重ねることになる。1928(昭和3)年、古峡は医師免許を取得、1934(昭和9)年、千葉市内に中村古峡療養所(現中村古峡記念病院)を開設し精神科医として活動した。
■展示・掲載予定資料
○南方宛中村古峡書簡
○中村宛南方熊楠書簡(平成28年1月受贈)
○その他関連資料
■説明会
2月6日(土)14時~ 講師 安田忠典(関西大学准教授)
■協力
中村古峡記念病院
会期 2月6日(土)~3月13日(日)
時間 10:00~16:30(最終入館)
会場 南方熊楠顕彰館
休館日 2月1日(月)、8日(月)~15日(月)、22日(月)、23日(火)、29日(月)
入場料 無料