第34回月例展 熊楠とゆかりの人びと 第17回『フレデリック・V・ディキンズ』


    イベント詳細


    『方丈記』800年記念

    西暦2012年の今年は、鎌倉時代の歌人で出家した鴨長明(1155?~1216)が「方丈記」を執筆してちょうど800年となる節目の年にあたります。鎌倉時代の1212年3月29日頃に、都の東南、宇治に近い日野の山中にある方丈の庵で、「方丈記」は書き終えられたのでした。
    失意のうちにロンドンから帰国し、那智山中の隠花植物採集に日々を送っていた熊楠が、ロンドン大学事務総局局長の職を辞したばかりのフレデリック・V・ディキンズに協力する形で「方丈記」の英訳を始めたのは、1903年の6月のことでした。やがてこの翻訳は、両名の名前併記の形で「王立アジア協会会報」(1905年4月)に「12世紀の日本のソロー」と題して掲載され、また1907年にはこんどはディキンズの単独名で、ゴワンズ社からインターナショナルライブラリーの第15冊として、「方丈記:10フィート四方の小屋の記録」との題名で出版されることになるのですが、顕彰館には現存する経緯についてはよくわからないながら、熊楠がディキンズに送った24ページ分の訳稿のちょうど半分に相当する罫線ノート紙使用のインク書き草稿が残されています。
    那智隠棲の日々、熊楠がどんな思いで「方丈記」の英訳を綴っていたのか・・・今秋は月例展「南方熊楠とゆかりの人びと」の第17回として、この「方丈記英訳草稿」を中心に、フレデリック・V・ディキンズを取り上げます。
    ■開催期間
    平成24年10月6日(土)~11月4日(日)
    ■会場
    南方熊楠顕彰館1階
    ■内容
    第一部 ディキンズとの交遊
    ディキンズについて、南方熊楠との交流について
    ※ディキンズの写真や南方熊楠宛書簡の展示・解説
    第二部 方丈記
    方丈記について、南方熊楠・ディキンズの共訳について
    ※『方丈記』複製本や方丈庵、熊楠の原稿などを展示・解説
    ■休館日
    ホームページの休館日カレンダーをご参照下さい。
    ■その他
    入場無料
    ■シンポジウム
    南方熊楠と『方丈記』
    ~その訳稿からみるディキンズ交遊と那智隠棲~

    ●日時 10月27日(土) 14:00~16:00
    ●場所 南方熊楠顕彰館
    ●内容 講演「鴨長明と方丈記」
    千本英史(奈良女子大学教授)
    講演「F・V・ディキンズと日本文学」
    岩上はる子(滋賀大学教授)
    講演「ディキンズと熊楠」
    松居竜五(龍谷大学教授)
    パネルディスカッション
    ●入場  無料