第31回 月例展開催


    イベント詳細


    熊楠とゆかりの人びと 第14回 大江喜一郎

    南方熊楠邸の土蔵には熊楠宛の大江書簡が6通(1929.1.17~1933.1.3)収蔵されていました。南方熊楠顕彰館の開館後、大江宛の熊楠書簡36通(1929.1.25~1935.9.29)、古谷石、粘菌標本など、ご遺族から多数寄贈されました。
    熊楠書簡のうち6通は翻刻されており、3通は『南方熊楠全集』(平凡社)、もう3通は『改訂 南方熊楠書簡集』(紀南文化財研究会)に掲載されていますが、残りはまだ翻刻されていません。
    両者の手紙のやり取りがはじまったのは熊楠が妹尾から田辺に帰った1929(昭和4)年です。御承知の通り熊楠が昭和天皇に御進講をしたのは、この年の6月1日です。そのときに献上された粘菌標本110点のうち3点が大江が妹尾で採集した標本です。そして、寄贈された大江喜一郎宛熊楠書簡36通のうち27通が1929年にかかれたものなのです。つまり、非常に重要な時期に交わされた書簡ということができます。
    大江とのかかわりは現在のところ、翻刻されている小畔四郎や上松蓊宛書簡、南方熊楠・東京翻字の会により翻刻作業が進んでいる1929(昭和4)年の日記などから類推するしかありませんが、今後の研究に期待を寄せたいところです。
    資料をご寄贈いただいた遺族のみなさま、ご協力いただいたみなさま、この場をお借りし、改めて御礼申し上げます。

    2011年10月
    南方熊楠顕彰館館長
    中 瀬 喜 陽
    南方熊楠顕彰会学術部部長
    浜 岸 宏 一
    大江喜一郎(おおえ・きいちろう)
    明治14年(1881)西牟婁郡二川村(田辺市)に生まれる。和歌山県巡査、二川村収入役を経て、田辺、船津(岐阜県)、福井等の営林署に勤める。日高妹尾官林を初め、こうした各地の勤務先で粘菌類、菌類を熱心に採取して南方の許に送り届け、その研究を助ける。昭和23年67歳で死去。
    (紀南文化財研究会編『改訂南方熊楠書簡集』より)
    ■開催期間
    平成23年10月8日(土)~11月6日(日)

    ■会場
    南方熊楠顕彰館1F

    ■展示内容
    はじめに
    大江喜一郎と南方熊楠
    粘菌標本の謎
    御進講・御進献にかかわって
    その後のかかわり

    ■展示物
    【昭和4年1月25日付 大江喜一郎宛葉書】
    【昭和4年6月26日付 大江喜一郎宛封書】
    【昭和4年7月8日付 大江喜一郎宛封書】
    【昭和4年8月1日付 大江喜一郎宛封書】
    【昭和4年9月20日付 大江喜一郎来簡・封書】
    【昭和4年8月16日付 大江喜一郎宛封書】
    【昭和4年10月22日付 大江喜一郎宛封書】
    【古谷石 『根矢の鉾立』・『滴穿巌』】
    【昭和7年の粘菌進献目録】
    【粘菌標本】
    【大江喜一郎名刺】

    ■説明会(無料、事前申込不要)
    10/15(土):中瀬 喜陽(南方熊楠顕彰館 館長)
    10/29(土):浜岸 宏一(南方熊楠顕彰会 学術部 部長)
    各回2:00~
    休館日
    ホームページの休館日カレンダーをご参照下さい。