南方熊楠にとって『和漢三才図会』は、生涯の友であった。幼少時の出会いは、彼が「知」の世界に遊ぶきっかけとなり、米英遊学時代にも座右において親しく読み、英文で論考を執筆するようになってからは、前近代日本の代表的な百科事典として参照し続けた書物である。
古今東西の文献を読み、「知」の東西比較を生涯のテーマとした南方熊楠と、江戸期日本の学識を代表する『和漢三才図会』との関わりを総合的に紹介する展示を行い、併せて『和漢三才図会』について多面的に検討するシンポジウムを開催したい。
■内容
第Ⅰ部 『和漢三才図会』との出会い
第Ⅱ部 寺島良安と『和漢三才図会』
第Ⅲ部 王圻『三才図会』からの飛躍
第Ⅳ部 本草書の系譜上の位置
第Ⅴ部 百科事典の時代の中の『和漢三才図会』
第Ⅵ部 熊楠は『和漢三才図会』をどう使ったのか
■展示・解説資料(予定)
◇南方熊楠直筆資料:12歳頃から筆写した「和漢三才図会抜書」など
◇南方熊楠蔵書:『和漢三才図会』(熊楠蔵書、熊弥蔵書)、『エンサイクロペディア・ブリタニカ』など
◇画像資料:寺島良安「日本図」・「中国図」(画像提供:神戸市立博物館)
■担当
田村義也(成城大学非常勤講師)
千本英史(奈良女子大学教授)
■協力
神戸市立博物館
●関連イベント
「熊楠をもっと知ろう!」シリーズ第27回
シンポジウム「和漢三才図会」
日時 平成26年4月29日(火・祝) 13時30分~16時30分(予定)
会場 南方熊楠顕彰館 1階 学習室
パネリスト
小峯和明氏(司会・立教大学名誉教授)
マティアス・ハイエク氏(パリ第七大学准教授)
鈴木広光氏(奈良女子大学教授)
参加費無料
※『和漢三才図会』とは・・・
江戸時代中期の大阪の医師寺島良安によって、正徳3(1713)年頃に刊行された図入りの百科事典。全105巻。中国明時代の『三才図会』を模し、所収項目は、「天・人・地」の三才に大部に分類する。天の大部は、天部時候・暦日吉凶など、人の大部は、人倫・宗教・生活様式・器具など人間にかかわるものと、獣鳥魚虫の動物項目を所収。地の大部は、山・水・金石から、中国および日本の地理、植物類を収める。〔参考:『国史大辞典』吉川弘文館、1993年〕
会期 2013年3月21日(金)~5月6日(火)
時間 10:00~17:00(最終入館16:30)
会場 南方熊楠顕彰館
休館日 3/24(月)、25(火)、31(月)、4/7(月)、8(火)、14(月)、21(月)、22(火)、28(月)、30(水)
観覧料 無料