南方熊楠翁生誕150周年記念 正岡子規展【終了】


イベント詳細


南方熊楠翁生誕150周年記念
第47回月例展 熊楠とゆかりの人びと 第30回 正岡 子規

 正岡子規は、近代日本の俳句および俳文の改革者として知られる人物です。1902年に 34歳というたいへん若い時期に結核で死去していますが、それにもかかわらず、近代の 文学史に巨大な足跡を残したと言ってよいでしょう。子規が確立した俳句や写生文は、盟友の夏目漱石の小説とともに、その後の日本人の文章表現の基礎となっていきました。

 熊楠と子規は、神田の共立学校および東京大学予備門の同級生でした。1883年に和歌 山中学を卒業した熊楠と、松山中学を中退した子規は、ともにこの年の5月に上京し、神田で学生生活を送ることになります。そして1884年9月に東京大学予備門に入学し、1886年2月に熊楠が病と落第のために中退するまで、同じような環境の中で、同じ教育 を受け、同じ人びとに囲まれていました。

 熊楠はこの頃の子規のことを、後に回想として書いたり語ったりしています。特に両者が同じ寄席に通っていたという証言は、この時代の若者の教養形成を考える上で重要な点でしょう。また、立身出世に対する抵抗感など、二人の性行の似ていることも指摘できる部分があります。子規が早世するまでに切り開いていった俳句による描写の地平は、晩年まで好んで俳句を作り続けた熊楠の文章表現を考える上でも参考になるものでしょう。

 今回の展示では、こうした直接、間接的な熊楠と子規の交流について、最新の研究に基づいて資料を紹介するものです。今年、ともに生誕150周年を迎えるこの二人の知の世界における改革者の交錯について、考えるきっかけになれば 幸いです。

◆展示内容
 はじめに
 共立学校
 東京大学予備門
 正岡子規に関する南方熊楠の回想
 二人の共通点
 共通の知人たち
展示資料
 旧共立学校・東京開成中学校同窓会名簿
 備忘録
 東京大学予備門成績表 明治十八年三月第二学期 前本黌生徒及改正学科生徒試業優劣表
 東京区分絵図
 行幸記念うちわ
 その他関連資料

◆説明会(申込不要、無料)
 6月17日(土)14時~
  杉山和也(青山学院大学大学院博士後期課程)