企画展 新春吉例「十二支考」輪読 -猴に関する民俗と伝説-


    イベント詳細


    南方熊楠は、1914(大正3)年の寅年から1923(大正12)年の亥年にかけて、当時の雑誌『太陽』(博文館)に、その年の干支をテーマにした論考を発表しました。子年の論考は編集部の方針で不掲載、丑年については執筆されませんでしたが、これらの論考を総称して「十二支考(じゅうにしこう)」とよばれています。
    内容は、そのテーマの動物について、生態や伝承、民俗などを、古今東西の書物から引用するだけでなく、熊楠独自の見解を書き連ねています。しかし、情報が多く詰まりすぎており、熊楠の著作の中で、もっとも難読のものといえるでしょう。
    南方熊楠顕彰館では、新春を迎える恒例行事として、また、身近な作品として「十二支考」を楽しめるよう、その年の干支の「十二支考」に関して、当該干支生まれの研究者等による展示と講演会を開催いたします。
    今回は、2016(平成28)年の十二支「申」に関する論考「猴に関する民俗と伝説」を取り上げます。
    【企画展】
    平成23年度に始まった新春吉例「十二支考」輪読も、早いもので、今回で5回目を迎えました。平成28年は丙申(ひのえさる)です。
    「猴に関する民俗と伝説」は、熊楠53歳の大正9(1920)年庚申(かのえさる)の年、『太陽』に5回に分けて掲載されました。「概言(1)」、「概言(2)」、「性質」、「民俗(1)」、「民俗(2)」の5節からなり、「伝説」の部はありません。このことについて熊楠はのちに、猴の「麁稿」は「伝説」を含めて完成していたが、清書が間に合わなくなって、「民俗」までで打ち切った、という意味のことを述べています(「鶏に関する民俗と伝説」)。
    事実とすれば、ずいぶんもったいないことをしたものです。そう言いたくなるほど、この猴の回は内容が充実しており、読んでおもしろいと思います。
    改めて言うまでもないことですが、サルはヒトに最も近い動物です。サルの生態やヒトとサルとの関わりの中に熊楠が何を見ようとしていたかをいっしょに考えてくだされば幸いです。
    平成28年が例年にまさる、よい年になりますように。
    (開催にあたり「ごあいさつ」より)
    ■会 期 2015年12月5日(土)~2016年1月10日(日)
    ■時 間 10:00~17:00(最終入館16:30)
    ■会 場 南方熊楠顕彰館
    ■内 容
    ◆南方熊楠と「ラーマーヤナ」
    ◆三猿はハヌマーン、青面金剛はヴィシュヌか
    ◆十二支考のサルたち-南方熊楠の視線
    ■担 当
    奥山直司(高野山大学教授)
    鈴木 滋(龍谷大学准教授)
    松居竜五(龍谷大学教授)

    ■入場料 無料
    【講演会】
    企画展と連動し、南方熊楠の論文「猴に関する民俗と伝説」をテーマに、申年生まれの研究者等による講演会
    □日 時 2016年1月10日(日)14:00~16:00(予定)
    □会 場 南方熊楠顕彰館 1階学習室
    □講 演
    ◇申年 熊楠も木から落ちるか?
    奥山直司 先生(高野山大学教授)
    ◇十二支考のサルたち-南方熊楠の視線
    鈴木 滋 先生(龍谷大学准教授)
    □定 員 50名(申込み不要/直接会場にお越しください)

    会場 南方熊楠顕彰館
    休館日 12/7(月)、8(火)、14(月)、21(月)、22(火)、24(木)、28(月)~1/4(月)