第11回南方熊楠賞(平成13年)を受賞された青木淳一先生(横浜国立大学名誉教授)が令和4年11月11日に逝去されました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
南方熊楠賞選考報告のなかで、河野昭一選考委員長は、青木先生の研究業績を次のようにご紹介されました。
青木氏は、日本でほとんど研究されていなかった土壌性のダニに深い関心を抱き、その分類の集大成を成し遂げた。また、ヨーロッパで誕生した土壌生物学をいち早く日本にも移入し、日本土壌動物学会の創設にも携わり、我が国においてこの学問分野の確立に寄与した。その研究は、分類学、生態学、環境生物学などの広い分野にまたがり、また、『大地のダニ』、『日本ダニ図鑑』、『日本列島ダニさがし』など、著作も数多く、啓蒙・普及活動に対する貢献にもきわめて大きいものがあり、各界からきわめて高い評価を受けている。
ここに改めて、青木先生のご功績、並びに南方熊楠顕彰へのご尽力に対し敬意と感謝を申し上げますとともに、南方熊楠賞ご受賞時のコメントとお写真を紹介し、ご冥福をお祈り申し上げます。
【南方熊楠賞受賞者コメント】
ただ自然が好きで、森の中を歩くのが楽しみで、落ち葉の下から採集した可愛らしいダニに惚れ込み、それらに命名して記載することを40年以上続けてきました。そんな役にも立たない研究に、私がもっとも尊敬する情熱的な博物学者、南方熊楠にちなむ賞を授けてくださることになり、心の底から沸き上がる喜びを抑えきれません。
大自然の中には、まだ私たちの知らない小さな生き物たちが無数にいることを、私は自分の研究を通して知りました。今後はそれらを探索する自然誌研究の面白さを若い研究者たちに教えながら、この栄えある受賞を励みに、私自身も私の足が動かなくなるまで、日本列島を歩き回り、ササラダニの名付け親の仕事を続けていきたいと思っております。