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「引作の大クス」の大枝

 熊楠は、巨樹にもし言葉があれば、樹下にたたずんだ人、行き過ぎた旅人の話など、さまざまな話を聞けるであろうと考えていました。
 皆さんは「大クス」からどのような話を聴くことができるでしょう?

 2007(平成19)年9月29日、三重県南牟婁郡御浜町にある、熊楠ゆかりの引作の大クスの大枝が1本折れました。この「大クス」は、「阿田和の大楠」とも呼ばれ、神社合祀により伐採されるところでしたが、「大樟樹保護に尽くされよ」という牟婁新報の記事を読んだ熊楠が、当時、国の官僚であった柳田國男と東京朝日新聞の杉村広太郎(楚人冠)に保護を依頼した楠(樟)です。三重県の天然記念物の指定されており、新日本名木百選にも選ばれています。
 折れたのは、根もとから4.4mのところで5本に枝分かれしている枝のうち、東に張り出した枝で、9月中旬に、付け根に約1.5mの亀裂が入っているのが確認され、対策を講じているうちに倒れました。主因は経年による幹の空洞化によるものと考えられています。
 2009(平成21)年12月、「双方交流のきっかけとなるように」と御浜町より田辺市に寄贈され、受贈後、南方熊楠顕彰会が利活用方法を検討し、研磨等の作業を進めていました。

 枝が折れる前の大クス (2004年9月撮影)。

枝が折れる前の大クス (2004年9月撮影)。

1階 休憩コーナー

1階 休憩コーナー

折れた枝。  赤い部分が寄贈された部分。

折れた枝。 赤い部分が寄贈された部分。

  2階 交流・閲覧室

2階 交流・閲覧室